コラム

【ブラシ屋&クリーム屋が教える】革靴の磨き方

靴磨きはどうしたらいいの?ちょっと難しそう。などと思われていたりしませんか?
実は基本的な磨き方を知っていれば、初心者の方でも綺麗に磨くことができます!

革靴はお手入れの仕方次第で、新品の時よりも味わい深くなり魅力が増していきます。
ぜひコツを掴んで、靴を綺麗に磨きましょう。

基本の磨き方と道具についてご紹介していきます。

靴磨きに必要な道具は何?

靴磨きに必要な道具

革靴磨きに必要な道具です。代用できるものもご紹介します。

・シューキーパー:
革靴の形を整えてくれるものです。
※タオル・新聞紙などを詰めることで代用できます。
・クロス(布):
クリーナの拭き取りや乾拭き、磨きなどで使用します。
・靴ブラシ:
お手入れの行程別にブラシを用意します。
馬毛ブラシ、豚毛ブラシ、山羊毛ブラシ
・クリーナー:
靴の汚れや古いクリーム、ワックスを落とすのに使います。
・靴クリーム:
革靴に潤いと栄養を与え自然な艶がでる乳化性のクリームです。
・ワックス:
靴の保護とピカピカな光沢を出すのに使います。

靴磨きの手順

靴のお手入れの手順をご紹介します。

【基本のお手入れの工程】

【更に靴をピカピカに仕上げる磨きの工程】

1.革靴にシューキーパーを入れる

革靴にシューキーパーを入れて形を整えます。
シューキーパーを入れることで、履いた時に出来たシワ等をしっかりと伸ばせたり、元の形を維持したまま細部まで磨くことができます。
シワを伸ばして靴クリームを塗ることで、塗っていない部分の乾燥やひび割れを防ぐことができます。

2.馬毛ブラシでホコリをはらう

靴についたホコリ等を柔らかめの馬毛ブラシを使ってはらいます。
ブラッシングすることで、細かなホコリまではらうことができ、ホコリが革の水分を奪い革が乾燥して傷みの原因となるのを防ぎます。

【馬毛ブラシ選びのポイント】

・しなやかで柔らかいもの:
メダリオンの穴やウイングチップの細かいステッチの間のホコリなどもキレイに取り除くことができます。
・毛足が長めのもの:
お手入れの際にブラシが靴に当たらなくてよいです
・密度が高いもの:
柔らかい毛のブラシは密度が高いほうが、弾力が出てしっかりホコリがはらえます。

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3.クリーナーで、靴の汚れや古いクリーム、ワックスを拭き取る

クリーナーで、靴の汚れや古いクリーム、ワックスを拭き取る

ホコリを払った後、革靴専用のクリーナーを使用して靴の汚れや古いクリーム、ワックスを落とします。
大豆一粒ほどの量のクリーナーをクロスにとり、靴全体に塗布して拭き取ります。
靴に直接付けるとシミになる恐れがあるので、クロスにとって靴に塗布してください。

【汚れを落とす順番のポイント】

  1. 靴全体に拡げた後、特に気になる汚れを中心に優しく拭き取る
  2. 靴全体の過去に塗った靴クリームやワックスなどを優しく拭き取る

4.靴クリームを革靴全体につけて豚毛ブラシで革靴全体に馴染ませるように磨く

大豆一粒ほどの量の乳化性のクリームをとり、靴全体に塗布します。
塗布する際、指や布でも塗りこんでいただけますが、指を汚したくない方やより丁寧にお手入れをしたい方は細部までしっかりと塗りこめる専用のペネトレイトブラシ/クリーム付けブラシがあります。
ペネレイトブラシ/クリーム付けブラシはこちら

塗布した靴クリームを豚毛ブラシで革靴全体に馴染ませるように塗り込みます。 ブラッシングの摩擦熱で革に浸透させていくので、少し熱を帯びるくらいの強めの力加減で磨きましょう。

この作業を行うことで革靴につやが出てくるようになります。
※革によっては強すぎると傷ついてしまうこともありますので、少しづつ確認しながら行ってください。

【豚毛ブラシ選びのポイント】

・サイズ:
手で握った時に力が入りやすい大きさを選びましょう。
・毛が硬めのもの:
摩擦熱が程よく起きてクリームを靴に馴染ませるには、毛は硬めでコシが強い方が良いです。

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【ポイント:オススメの手植ブラシ】

通常のブラシよりお高めですが、手植えのブラシは密度やコシ、丈夫さ等、しっかりとできています。
密度のあるブラシはしっかりとした弾力のあるブラシになります。毛の硬さだけではなく、ブラシの密度の出し方でも仕上がる商品はかわってきます。
また、手植えのブラシは長くご愛用いただくことができます。

【靴クリーム選びのポイント】

乳化性のクリームは、新品の革靴は色落ちしてないので無色透明がオススメです。長く使って色あせた靴は補色効果がありますので、ご自身の革靴にあった色味のクリームを選びましょう。

5.余分なクリームを拭き取る

ブラッシングが終わったら、余分なクリームをクロスなどで拭き取って下さい。
クリームが余分に残っているとホコリが付きやすいので、そのホコリが革の油分を奪い乾燥して劣化が進むのを防ぎます。
表面をまんべんなく、強い力は入れずに優しく拭いていきます。

6.山羊毛ブラシで仕上げ磨きをする

仕上げに山羊毛ブラシでブラッシングをすることで自然な艶が出ます。
オススメの山羊毛ブラシはこちら
ここまでが基本の靴のお手入れの行程です。

基本の靴の磨き方を動画でご紹介!
紳士靴及び婦人靴の磨き方をご紹介しています。

7.ワックスをつける

ワックスをつける

靴クリームを塗って磨くことで自然な艶のある光沢になりますが、さらにキレのある光沢を出したいという方にはワックスをオススメします。

ワックスは、円を描くように指で塗り込みます。
指で擦り込むことで指の熱で蝋を溶かしながら薄く塗り込むことができます。
※手では汚れが気になると思われ方は布を手に巻き指と同様に薄く塗りこんで下さい。
塗り伸ばしたい部分に一滴程度のごく少量の水を垂らし、塗り込んでいきます。
靴の先端、側面と後部の際に塗る
ことをおすすめします。
※ワックスは靴のシワができない硬い部分に塗り込むと良いです。靴の履きシワなどの箇所に塗り込んでしまうとひび割れの原因になります。

手で塗り込んだら、次は指先に布を巻き磨きます。指先に水を少しつけて磨きます。
※指先の布はピンと張らせるのがポイントです。
塗り伸ばしたい部分に一滴程度のごく少量の水を垂らし、布で磨きます。

このワックスの塗布と磨きの作業を20分ほど丁寧に繰り返します。


蝋でコーティングされキレのある光沢になります。
これを繰り返すことによって、層が出来上がっていき輝きが増してきます(鏡面磨き)。

8.磨きの仕上げに山羊毛ブラシでブラッシング

ワックスを塗り、磨いた後の仕上げは山羊毛ブラシでのブラッシングです。

山羊毛は馬毛や豚毛に比べて毛が最も細く、繊細でハリとコシがあります。
山羊毛ブラシにごく少量の水をつけて力をかけずにブラッシング
することで、みずみずしい輝きの革靴に仕上がります。

ワックスを塗ったところと塗っていないところの境目などにもしっかりとブラッシングをすると、境目が馴染み。ほどよく全体のバランスが整います。

ぜひ、山羊毛ブラシでみずみずしい輝きと美しい光沢のある革靴に仕上げてください。
オススメの山羊毛ブラシはこちら

靴磨きの頻度と日々のお手入れ

革靴を長くキレイに履いていただくためには、定期的な靴磨きと日々のお手入れが必要です。 また、靴は履くと足の汗で湿気を帯びているので毎日は履かず、1~2日おきくらいで履くようにしましょう。

靴磨きの頻度

  • お手入れは月に1回程度が望ましいです。靴磨きは、靴を履く頻度にもよりますが、日頃愛用している靴でしたら、月に1回くらいの目安が丁度良いでしょう。
  • 革靴はそのままにしていると乾燥してしまいますので適度な油分と水分の補給が大切です。クリームで革靴に潤いと栄養を与えてあげましょう。

【靴クリームとワックスについて お手入れのポイント】

・乳化性クリーム・・・
保湿と自然な艶を出す
・油性ワックス・・・
革のツヤを強調して光沢を出す

日々のお手入れ方法

靴は履くとホコリがつくので履き終わったらブラッシングしてホコリを取り除いておきましょう。

1. 馬毛ブラシでホコリを払う

履き終わったら馬毛ブラシでホコリを払っておきましょう。
先ほどご紹介しましたが、ホコリが付くと革の油分が奪われ、革の劣化が進んでしまうため、ホコリ払いは履く都度行うとよいでしょう。 おすすめの靴ブラシ

2.シューキーパーを入れて保存

靴磨きをするときも重要ですが、靴の形を整えて保存するためにはシューキーパーを1つはご用意するとよいでしょう。

型崩れを防ぐ以外にも、靴の履きしわを伸ばし革のひび割れ防いだり、靴底の反り返りを防いだりする効果があります。木製のシューキーパーは除湿効果もあり、革靴の天敵ともいえる湿気を防ぐのにも役立ちます。また、靴磨きなどのメンテナンス時にもシューキーパーを入れて行えば型崩れを防げます。

【シューキーパーを選ぶポイント】

・サイズ:
必ずご自身の靴に合ったサイズをお選び下さい
・形状:
つま先とかかと部分がぴったり収まる形状なこと
・素材:
木製とプラスチック製がありますが、調湿性のある木製がオススメです中でもシダー製は抗菌・吸湿、防臭などもよく、重量もほどよく人気です。

もっと靴磨きにこだわりたいならこんな道具も

もっと靴磨きにこだわりたい!という方にオススメの道具をご紹介いたします!

ペネレイトブラシ/クリーム付けブラシ

クリームを靴に塗布する際に使用するブラシです。
指よりも伸びがよく、細かい部分まで塗布することができます。
ペネレイトブラシ/クリーム付けブラシはこちら

フランネル生地のクロス

クロスは使い古したTシャツなどでも代用できますが、フランネル生地のクロスを使うとよりキレイな仕上がりになります。 汚れ落とし、乾拭き、磨きにも使用可能なクロスですのでぜひお試しになってみてください。

鏡面磨きのご紹介

「鏡面磨き」という言葉をご存知ですか?
ハイシャインやシューシャインと呼ばれることもあるそうですが、いずれの言葉も「靴の表面を鏡のようにツヤツヤになった状態」です。

上記でご紹介した7のワックス塗布と磨きを繰り返し行うことで、蝋でワックスの層ができてピカピカになってきます。

光沢が帯びてきたら、仕上げに山羊毛ブラシでブラッシングをして完成です。
ぜひ挑戦してみてください。

楽しく靴磨きに挑戦しましょう!

身だしなみを整えることは、清潔な見た目はもちろん、信頼感にも繋がります。
靴が綺麗なだけでお洒落な印象を与えることも出来ます。

また、革靴をお手入れする時間が、心が落ち着いて癒されると愛おしむ方も多くいらっしゃいます。
ぜひ楽しんで革靴のお手入れを習慣化して、愛用の革靴を長持ちさせましょう!

監修:ライオン靴クリーム本舗(株式会社谷口化学工業所)

記事と動画でご紹介した商品

埃払い 花馬毛のたてがみ

磨き用 白豚毛

仕上げ用 山羊毛

クリーム付け/ペネトレイトブラシ(左:白豚毛 右:白馬毛)

磨き用 馬毛